一型糖尿病 入院の記録 後半

入院生活前半のお話はこちらです

入院生活 前半の続き。一型糖尿病で入院してからの退院までのことだ。具体的に何があったのかだけではなく、何を考えて過ごしていたのかも併せて書いている。

入院4日目

自分でインスリンを打つことや、血糖値を測定することに慣れてきた。精神的にも余裕が出てきたので、病院の外を散歩したりもした。お風呂も入っていいとの許可もおりた。

血糖値もこの日を境にストンと下がった。ずっと200以上あった血糖値が100以下になった。最高にうれしかった。やっと下がった(治った)と思った。もう退院出来るんじゃないかと期待してしまった。

血糖値が急に下がった理由は自分でもよくわからないが、先生曰く、ずっと微熱が続いていたのが、平熱に戻ったことが原因らしい。
後で知ることになるが、これがシックデーというやつだったらしい。

病院生活も少しずつ楽しくなってきた。
そして、なにより一日三回の病院の食事がおいしかった。
同部屋のグルメ達は、病院の食事はおいしくないとブーブー言っているが、私にとってはそんなことはなかった。朝の牛乳を除けは全部おいしかった。

そもそも、上京してからは、ちゃんと一日三回食事をしたことがなかった気がする。実際、食事や栄養に関してはあまり興味がなかった。
入院中体重が増えたのは、しっかり栄養が摂取出来たからなんだろうと思う。

インスリンを打つのは嫌だったが、食事は毎回待ち遠しかった。

朝は早く起き、夜は早く寝る。20時過ぎに寝て、6時には起きる生活だ。

仕事はしていないが、規則正しい生活がどういうことなのかを教育されているような気持ちだった。

入院5日 一時帰宅

この日は、突如一時帰宅の許可がおりた。
インスリン注射での自己治療を覚え、血糖値や体調も安定してきた為、一回帰宅していいよとのことだった。

やはり我が家はうれしかった。当時は狭い家だったが、とにかく気持ちが楽だ。なんとなく一般社会に戻ってきた気がした。

そして久しぶりにお風呂にも浸かった。
病院ではずっとシャワーしか使えなかったからだ。

そして、その日はインターネットにかじりついて、様々なワード検索した。

「一型糖尿病 完治」
「糖尿病 治る」
「膵臓 移植」

だが、自分が期待するサイトは出てこなかった。もともとあまり期待はしていなかったがやはり落ち込んだ。たまに出てくる怪しいサイト(一型糖尿病完治できます!)系は全く信憑性がなく、むしろ腹がたった。

やはり現時点では、治療法がインスリンしかないようだった。移植するにしてもリスクが高いことも十分知ることができた。

一生インスリンを使って生活していくことを、改めて覚悟したのはこの時だ。

自分で調べて、納得して、ようやく本当の意味で前を向くことが出来たと思う。そこからは、たくさんの本を買い、有益な情報はすべて取り入れるようにした。

その中の一つが、今も続けている糖質制限だ。

入院6日目

一時帰宅していたが、もう一度病院に戻って、入院生活6日目がスタートした。

この日は朝から検査だった。
体に何か異常が起きていないか、徹底的に再度検査をしてもらった。

あいにく合併症で痛んでいるところはなく、検査は無事に通過できた。あとは退院日を決めて、退院の手続きをすることになった。


迷ったが、退院日は翌日に決めた。

もう病院にいてもやることはないと判断したからだ。
今回の入院は、検査だけでなく、教育も兼ねていた。短期間だが十分学んだと思う。卒業だ。

同じ部屋の方に、明日でお別れすることを告げて、今度お見舞いに来ますなんて冗談を言ったら喜んでいた。でも内心、どの面でお見舞いに行けばいいのかわからなかった。結局お見舞いには行かなかった。というか行けなかった。

入院中は毎日友達が遊びにきてくれた。嫁も毎日来てくれた。
人生の中で、自分が糖尿病で入院することがあるなんて思ってもみなかったが、いろいろ考えるきっかけになったし、体の為に必要だったんだと思うことにした。

入院していなかったら早死にしていただろう。そう思うことに決めた。意外にポジティブな自分に気が付いたが、無理やりにでもポジティブにならなきゃやってられなかったんだと思う。

退院当日

諸々の退院手続きを済ませ、入院生活が終わった。
仕事を休んでいる間はすべて有給を使えたことと、共済でお金がもらえたことが大きかった。金銭面での負担はそれほどではなかった。精神的には人生で一番落ち込んだが。

それから二日ほど家でゆっくりして、退院後三日目から職場復帰した。

同僚や上司は、びっくりしていたが、少し健康的な顔つきになった私を見て、安心してくれていたようだ。それほど入院前の人相はやばかったらしい。

仕事中に眠くなることはなくなり、今までの分を取り返すべくガンガン働いた。でも体は全くつらくなかった。これが健康かと思った。

退院から現在まで

今のところ合併症は起こしていない。

感染症・腎臓障害・網膜剥離・性不能・壊疽・自律神経失調・栄養失調 などなど、糖尿病から引き起こされる合併症は数多く存在する。とても恐ろしい病気だ。

今は治療法があるが、昔は不治の病として、糖尿病=死 として恐れられていた。インスリン治療が見つかったことに感謝しつつ、合併症を起こさないよう、今も日々健康的に暮らすよう心掛けている。

もう入院したくない。

何よりも健康が大事だ。

入院以降、ずっとそう思っている。